技術レポート

Pro3 HSシリーズのフィラメント自動切り替え機能のご紹介と注意点

Raise3D Pro3 HSシリーズ(Pro3 HS、Pro3 Plus HS)には左のフィラメントスプールの材料がなくなると、右のエクストルーダーで別のスプールを使用し造形の継続が可能なフィラメント自動切り替え機能があります。

大型造形の際などフィラメント1巻では造形物の材料使用量に足りない時に、左右のエクストルーダーを切り替えることで2巻のフィラメントの使用が可能です。


設定方法

下記の矢印に従って、画面を遷移しフィラメント自動切り替え機能を ON にします。
 (最後の画面では必ずフィラメントセンサーの機能も左右ともに ON になっていることを確認してください。)

造形開始時には左右に同じフィラメントをロードした状態で印刷開始してください。

ideaMakerでは特に設定は必要なく、左ノズル(左エクストルーダー)のみで造形する設定になっていれば問題ありません。
※デュアル造形などは使用できません。


注意点

造形エリアが狭まくなります

自動切り替え機能を使用する場合、デュアル造形(よくある質問のデュアル造形を参照)と同様に造形のエリアが狭まります。

Pro3 HSでは、最大造形エリア(幅×奥行き×高さ)が300×300×300mm(Plusは605mm)ですが、自動切り替え機能を使用した場合、255×300×300mm(Plusは605mm)です。

この45mm分の造形できないエリアにモデルが配置されていると、自動切り替え機能を使用することができません。

造形できないエリアに配置されていないかの確認方法として、下記があります。

まず、モデルを配置します。

メニューから「表示」(もしくは「パン」)を選択し、画面左のスパナマークをクリックし、「モデル情報」のパネルを出します。

モデルを選択し、エクストルーダーの項目を「右のエクストルーダー」に変更します。


左端のグレーに色が変わった部分が、デュアル造形では造形できないエリアです。
移動の機能を使用し、このエリアにかからないように配置をします。
※モデルの左側にデュアル造形で使用するワイプタワーが出現しますが、この位置は無視していただいて構いません。

「モデル情報」のパネルに戻り、モデルを選択し、エクストルーダーの項目を「左のエクストルーダー」に戻します。

以上が、造形できないエリアに配置されていないかの確認方法です。

切り替え機能を使用する前に調整が必須

自動切り替え機能を使用する場合、デュアル造形と同様の動きになります。

左ノズル(左エクストルーダー)が材料切れをし、フィラメントセンサーが反応すると、右ノズル(右エクストルーダー)に切り替わり、造形を続けます。

オフセットキャリブレーションの2項目目(右Zプローブオフセット)と、4項目目(右ノズルXYオフセット)を調整しないまま自動切り替え機能を使用してしまうと、切り替えした部分に段差や左右のズレが生じてしまいます。

オフセットキャリブレーションは全項目の調整を行なったうえで、自動切り替え機能をご使用ください。
オフセットキャリブレーションの手順は「取扱説明書」をご参照ください。

自動切り替え機能は左から右のみ

自動切り替え機能の仕様として、左ノズル(左エクストルーダー)のフィラメントセンサーが反応しフィラメント切れと判断した時、右ノズル(右エクストルーダー)に切り替わる動作となり、右ノズルから左ノズルへの切り替え機能はございません。

また、RFIDタグで読み込んだフィラメントの残量が、タッチパネル上の表記が0gになっても切り替え機能は実行されません。

あくまで、左ノズル(左エクストルーダー)のフィラメントセンサーがフィラメント切れの反応をした際の動作になります。

また、フィラメントの絡まりによりフィラメントが吐出されない場合にも動作はしませんので、ご注意ください。


自動切り替え機能により2.5kgを2本、最大5kgまで連続使用可能!

Pro3 HSシリーズのフィラメント挿入口、左ノズル右ノズル用合わせて4ヶ所あるのをご存知でしょうか?

内側が通常の1kgのスプールやOFP対応フィラメントの挿入口です。
外側の挿入口は、2.5kgなどのフィラメントの挿入口です。

現在、Raise3D純正フィラメントには、HS PLAHS ABS、PPA CFとPPA GFの2.5kgのフィラメントを販売しており、さらにオプション品として2.5kgフィラメントボックスも販売しております。

これらの商品とフィラメント自動切り替え機能を活用することにより、最大5kgまでフィラメントのロード・アンロードなし造形することが可能になりました。

まとめ

Pro3 HSシリーズは、ハードウェア・ソフトウェア様々なアップデートにより、造形速度はもとより造形品質、繰り返し精度に非常に優れた3Dプリンターです。

今回ご紹介したフィラメント自動切り替え機能を使用することにより負担を減らし、材料切れによる造形失敗のリスクを低減することが可能になりました。

ぜひ、こういった新機能をご使用いただき、日々の3Dプリンター活用につなげて頂ければ幸いです。






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