グラスウール配合国産PPフィラメント「Nanodax PPーGW」
ナノダックス株式会社の製品であるPPGWは世界初のグラスウールを充填した強化ポリプロピレンを3Dプリンター用フィラメントとして開発し製品化しました。
従来の純粋なPPは反りが強く造形難易度の高いのが大きなハードルとなっていましたが、グラスウールを配合することで「反りを抑えつつ、実用的な強度と機能性」を実現した国産の材料です。
広く一般的な複合フィラメントであるファイバー系フィラメントとは異なるその特性から、試作だけでなく実用品(最終製品)としての活用も可能な物性値を有しています。
PP-GW実用性のポイント
提供:NCI販売株式会社
「実用強度」がある(割れにくい):
一般的なフィラメントは硬いが脆い(衝撃で割れる)ものが多い中、PPGWは「粘り」があり、曲げても割れにくい。積層間強度が非常に高い:
3Dプリント品の弱点である「積層の剥離」が起きにくく、Z軸方向(積み上げ方向)の層間密着強度が高い。これによって水漏れが抑えられ強度部品への採用につながっています。加工・塗装ができる:
通常のPPは塗装や接着が非常に困難(難接着材)ですが、PPGWは表面のガラス繊維の効果等により、一般的な塗料での塗装や、市販の接着剤が効きやすいというユニークな特性があります。
PPGWの魅力は何といってもその割れにくい性質にあります。
PP本来の曲げ強度に加えてグラスウールの添加によって千切れにくい性質も備えています。

Nanodax PP-GW
通常 ABS
一般的な樹脂では曲げると割れてしまいますが、PPはその特性から割れる事は殆どありません。
主な採用・活用事例
1. 医療・義肢装具分野(特に注目されている分野)
PPGWの「軽量・高靭性(割れにくい)・耐薬品性」に加え、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)に対応できる耐熱性が高く評価されています。
義肢・装具の造形:
事例: 海外の大手電機メーカーのメディカルセンターにおいて、足首固定用装具の独自開発に採用され、臨床試験等も行われています。
メリット: 従来の石膏型などを使う製法に比べ、製造時間を大幅(約1/10とも)に短縮可能です。また、患者に合わせてカスタムメイドしやすく、汗や洗浄にも強い(耐水・耐薬品性)点が評価されています。
義足ソケット: 海外の国立リハビリ研究所にて、大腿部カップ(ソケット)の造形研究・開発に用いられています。
提供:ナノダックス株式会社(nanodax)
提供:ナノダックス株式会社(nanodax)
ゲイトアシスト合同会社は2018年に設立された各種義足、自助具類製作および修理を行う企業です。
責任者である富永修一さんと安藤文紀さんは3Dプリンターを用いた義足製作のパイオニアとして企業での3Dプリンターが普及する初期より開発を行っており、ナノダックスPPGWは3Dプリンターを用いた義足製作において実用十分な機能性を有している事から高く評価されています。
2. 産業用治具・機能部品
PP(ポリプロピレン)特有の耐薬品性と、ガラス繊維による剛性が活かされています。
耐薬品性が必要な治具:
酸やアルカリ、鉱物油を使用する製造現場での治具として利用されています。通常のプラスチックでは劣化してしまう環境でも使用可能です。
液漏れ防止部品:
特徴: PPGWは積層間の密着力が非常に強いため、3Dプリント品特有の「隙間からの水漏れ」が起きにくい特性があります。
用途: 液体を扱うタンク、パイプ、継手(ジョイント)などの試作や小ロット生産に活用されています。

特にレース用のバイク部品では実際の筐体に組み込む活用がなされています。
提供ナノダックス株式会社(nanodax)
提供:ナノダックス株式会社(nanodax)
キャブレター
一般的に販売されているPP-GWは白色のみですが、企業側の要望により黒色で成形されたフィラメントを用いて造形を行っています。
提供:ナノダックス株式会社(nanodax)
組み込み時の様子
グラスウールを添加したことで高い耐衝撃性を持つPP-GWは本来の耐熱性に加えてオイルなどの耐薬品性、そしてレース用パーツとして不可欠な軽量性を併せ待つPP-GWは条件にマッチした材料といえます。
提供:ナノダックス株式会社(nanodax)
既存の配線・コネクター類の接続を考慮し造形時にインサートナットを埋め込んでいます。
3Dプリンターでは設計次第で既存パーツとの併用も可能なのが大きな特徴です。


エアファンネル
本来この部分も金属製である事が一般的ですが、樹脂製のPP-GWに置き換えています。


ナノダックスPP-GWは反りが抑えられているフィラメントですがPP材質故に、通常のプリントベッドには定着しませんので専用の糊やシートが必要になります。
使用する際にはMagigoo PPのりやNCI販売株式会社が提供するPP用タックシートをご使用ください。
NANODAX PP-GW 詳細ページはこちら
ナノダックス株式会社について
ナノダックス株式会社は、2007年の設立以来「グラスウール(断熱材などに使われるガラス短繊維)をプラスチックに混ぜ合わせる」技術を開発し、その技術を軸に成長してきました。
沿革
2007年5月: 東京都荒川区にて設立。
技術の確立: 当時のグラスウールは細く折れやすいため、プラスチックの強化材として活用することは技術的に極めて困難とされていました。創業者の藤田鉦則氏らは研究を重ね、グラスウールを樹脂の中に均一に分散させてペレット化する「G-MAG(ジーマグ)」の生産に成功しました。
2013年: 世界的なガラス・建築材料メーカーであるサンゴバン社から、この技術に関連する全ての知的財産権(特許)を譲り受けました。これにより、自社で自由に.製品化・ライセンス供与を行う体制が整いました。
技術の評価: 同年、プラスチック成形加工学会において「第1回技術進歩賞」を受賞。その独自性が公に認められました。
樹脂洗浄剤「ecomaru(エコマル)」: 成形機の中に残った樹脂を効率的に掃除する洗浄剤を発売。グラスウールの「かき出し効果」により、効率的かつ洗浄時間を大幅に短縮することに成功しました。
3Dプリンター用フィラメント「3Dmagic」: 2018年には、グラスウールを添加することで熱による反り返りが極めて少ないPP(ポリプロピレン)素材のフィラメントを発売。安定した大型3Dプリントを可能にしました。
異業種連携: ヨネックス株式会社と共同で、超臨界流体技術を用いた高機能テニスガットの開発や、釣り糸のOEM生産なども手掛けています。
ナノダックス PP-GWの造形レポートはこちら!
https://www.raise3d.jp/news/14