技術レポート

もうたるまない!首振りフィラメントスタンドのアタッチメントを作成

フレキシブルフィラメントのような柔らかいフィラメントの造形時には、他材料と異なり注意点がいくつか存在します。柔らかい材料に対して、なるべく大きな摩擦抵抗をかけることなくまっすぐとエクストルーダーに引き込まれなければなりません。

このため、純正オプションとして従来より販売している「首振りフィラメントスタンド」(型番:RSJP3D-04)を使用し摩擦抵抗を少なくすることで、造形中のノズル詰まりを軽減することが出来ます。

Raise3D首振りフィラメントスタンド (Pro3シリーズ用)首振りフィラメントスタンドを使った造形イメージ

首振りフィラメントスタンドを使用して、フレキシブル材料を利用されているお客様からこんなお言葉をいただきました。

「ヘッドの動きに合わせて、余分な材料が垂れ下がってしまう事が原因で造形品質が下がってしまうので、改善部品があれば嬉しいです。」

確かに首振りフィラメントスタンドを使用しても、モデルの配置や大きさによってはヘッドの大幅な移動に伴い、フィラメントを過剰に引っ張り出してしまい、垂れ下がったフィラメントがノズルの移動の際に、シャフト部など想定外の箇所へ接触してしまう場合があります。今回は、このお悩みを解決するべく作成したモデルのご紹介をいたします。

この改善部品は、垂れ下がりを防止するためにガイドチューブを取り付けられる構造を持ち、フィラメントの脱着時に邪魔にならないコンパクトな設計です。さらに、フィラメントスタンドを大がかりに改造することなくアタッチメントのように手軽に使用できる点も重視しました。

このコンセプトに基づき試作データを作成し、実際にRaise3Dプリンターで印刷して使用感を確かめました。販売及びサポートをしている弊社としては実感する機会が少ないですが、こうして試作のサイクルを上げられることは、やはり3Dプリンターにおける最大の強みであることが再認識できます。

試作をスライスして造形準備

いくつかの試作を経て、今回ご提供するモデルは以下の通りです。

造形情報

治具の取付方法

首振りスタンド


①フィラメントスタンドのボルトを外す


②外したネジで固定


③接続の金属カップリングとテフロンチューブ

(付属品の金属カップリングを使用してください。)


④治具のネジ穴に金属カップリングを設置


⑤治具とスプールの様子


⑥治具とスプールの様子


⑦テフロンチューブを通してフィラメントをノズルに接続


これで、治具を装着した首振りスタンドの組み立ては完了し、造形を開始できる状態です。

実際に使ってみた内容の記載

この治具を付けた造形の結果、フィラメントの遊びが抑えられ、かつノズルまでスムーズに供給されることで、プリンター本体への接触による造形失敗が解消されました。ビルドエリア内の配置を様々に変えたテスト造形でも、安定した品質向上の効果を確認できています。

問題点であった、材料の絡みでの失敗を防ぐための部品として、「首振りフィラメントスタンド」の改善を行いました。今回の印刷時間は約1時間でした。このように、短時間で問題解決の術を得られると、いろいろと社内改善の治具も試してみたくなりますね。

弊社では、すでにご導入いただいたお客様のお悩みに耳を傾け、より良い製品活用のお手伝いをさせていただいております。今後も手軽に取り入れられる対策をご提案していきたいと考えておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

本事例で作成した固定具のモデルはこちらからダウンロード可能です。

ぜひご活用ください。

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