少しの工夫で造形品質を向上!フィレット編
フィレットと造形品質の関係

前回はプラットフォーム設置面の端部の品質についてご紹介しましたが、次に紹介するのは、造形品質を上げる工夫をご紹介します。(前回記事:少しの工夫で造形品質を向上!面取り編)
今回は「底面側のフィレット(丸み付け)」についてです。
造形向きはどの面を綺麗に見せたいか、どの向きに強度を持たせたいかなど目的に応じて変わってきます。造形の向きを決定したときにプラットフォームに設置する面に注意してみてください。
もしもプラットフォームに設置する面にフィレットがある場合、造形が綺麗にならない可能性があります。
フィレットが造形を難しくする理由

なぜかというと、フィレットはオーバーハングを発生させるのでサポートが生成されてしまいます。サポートが生成されると、造形モデルとサポートモデルが接触したりして面が荒れてしまったり、それを回避するためにサポート生成をOFFにしても綺麗には仕上がりません。
このレポートでは、3Dモデル作成時のフィレットの処理について対処法をお伝えします。
なぜフィレットがあると綺麗では無いのか?
それはオーバーハングが発生するからです。フィレットの角度を見ていきましょう。

ごく簡単なフィレットモデルです。フィレットの角度を見てみましょう。
フィレットライン上からフィレットに沿って接線を書いてみます、そうすると面の角度を見ることができます。

サポートは、プラットフォームからの角度が浅い場合に生成されます。スライサーソフトで角度は変更できますが一般的には45°が多いです。
そうなると、この図では上から2本目のラインの位置から下部にサポートが生成される、あるいはサポート設定しない場合に表面品質が悪くなる部分になります。
実際に造形すると、写真のようにプラットフォームに近く、角度が浅い部分に造形の乱れが確認できます。これは、角度が浅い方が1レイヤーの「Z軸の移動量<XY軸の移動量」の関係にあるからです。例えば積層ピッチが0.2mm、ノズル径が0.4mmの場合にこの関係が「Z軸の移動量=XY軸の移動量」となった時がオーバーハング角度45°となります。

FFF方式は、上に積み重ねて造形しますので、XYの動きが大きいと1レイヤー前の造形物に吐出したフィラメントがしっかりと乗らなくなってしまいます。
さて、原因と結果が分かりましたので対策に移ります。
CADモデルでフィレットを修正する
CADモデルで修正しよう。
スライサーでは形状修正はできませんので、CADでモデル作成時にあらかじめ対策をしてしまいます。
やり方は簡単です。まずは面取りをして、その後フィレットを付けるだけです。フィレットのみの場合と形状は変わりますので、どの程度加工するかは様子を見ながらになります。

実際の造形は写真のようになります。


左側がフィレットのみ右側が面取りとフィレットです。45°の面から作られているので、安定して造形ができ、丸みがかかっているのが分かります。
面取りとフィレットの大きさにもよりますが、表面品質を向上させることのできる手段です。
いかがでしたでしょうか。モデル作成時にこのような考慮ができていれば、FFF方式のデメリットの影響を減らすことができます。是非参考にしてみてください。
その他造形の失敗の対策など、ご不明点は弊社HPよりお問い合わせください。