主要3方式「FFF・DLP・SLS」の比較:Raise3Dが実現する製造ソリューションの最適化
製造現場において3Dプリンターは試作機にとどまらず多岐にわたる用途で活用の幅を広げています。一方で、なにか1つの機器ですべてのニーズを満たすことは困難です。Raise3Dが新たにSLS(粉末焼結積層法)の「RMS220」をラインナップに加えたことで、FFF・DLP・SLSという主要3方式の統合運用が可能になりました。本コラムでは、各方式の基本知識を整理しつつ、それらが互いの欠点をどう補い、製造現場のソリューションをどう広げるのかを詳しく解説します。
1. 主要3方式の基本知識とそれぞれの特性
まずは、各方式のメカニズムと、実運用における特性を整理します。
FFF(熱溶解積層法):Pro3シリーズ / Pro3 HSシリーズ
Raise3D Pro3 HSシリーズ
熱可塑性樹脂を溶かしてノズルから押し出す、最も汎用性の高い方式です。実用樹脂(ABS、PC、カーボン入りナイロン等)を直接使用できるため、実用途を求める部品の生産に適しています。ただし、積層方向に起因する強度の異方性や、複雑な形状におけるサポート除去の工数が課題となります。
DLP(光造形法):DF2 Solution
Raise3D DF2
液状樹脂に光を当てて固める方式で、圧倒的な表面滑らかさと寸法精度が特徴です。微細な嵌合部や意匠性が求められる部品に最適です。一方で、造形サイズに制約があり、後処理(洗浄・二次硬化)の工程管理が重要となります。
SLS(粉末焼結積層法):RMS220
RMS220
粉末状の材料にレーザーを照射し焼き固める方式です。周囲の未焼結粉末が支えとなるため「物理的なサポート材」が不要です。複雑な中空構造や可動部の一体造形、さらには空間を立体的に活用した大量造形(ネスティング)を得意とします。
2. SLSの追加による「用途の拡充」:不可能を可能に
SLS方式のRMS220が加わったことで、従来のFFFやDLPでは技術的・コスト的に断念していた領域へのアプローチが可能になりました。
設計自由度の飛躍: サポート構造の制約から解放されることで、入り組んだ内部流路を持つダクトや、部品点数を削減した一体化設計(Part Consolidation)が現実的になります。
最終製品(エンドユースパーツ)への適応: SLSで造形されたナイロンパーツは等方的な強度を持ち、衝撃や熱に強いため、試作の枠を超えてそのまま実機に搭載する部品として機能します。
小ロット生産の効率化: サポート除去の手間がないため、一度に数百個の部品を造形しても、後工程の工数が大幅に増加することはありません。
3. 互いの欠点を補完し合う「トータルソリューション」の価値
3つの方式を揃える真の意義は、開発から製造までの各フェーズで「最適な武器」を使い分けられる点にあります。
解決したい課題 | これまでの限界 | Raise3Dの |
|---|---|---|
複雑な内部構造 | FFF/DLPでは | SLS (RMS220) で |
高精度な勘合と強度 | DLPは精度は高いが | FFF (Pro3) で剛性治具を |
生産リードタイム | 単一方式では | 3方式の同時並行運用 |
例えば、初期のデザイン確認は高速・高精細なDLPで行い、機能検証用の大型筐体は低コストなFFFで製作。そして最終的な複雑形状の機能部品はSLSで量産する、といったシームレスなワークフローが構築できます。
4. 共通プラットフォーム「ideaMaker / RaiseCloud」による運用の標準化
ideaMaker
異なる3方式を導入する際の最大の障壁は「運用の複雑化」ですが、Raise3Dはこれを一つのシステムで解決しています。
習得コストの削減: FFFのスライスに慣れたユーザーなら、同じ「ideaMaker」上でDLPやSLSのデータ準備も違和感なく行えます。
一元管理: 「RaiseCloud」により、オフィスにいながらにして工場内のFFF、DLP、SLS全機種の稼働状況や材料残量を一括でモニタリングできます。
複雑化する運用を、いかにうまく実装するかが設備導入における最大のポイントといえます。Raise3Dであればこのポイントをすでにクリアしているため機材の拡充も容易であると言えます。
結論:製造現場に最適な「選択肢」を
Raise3Dが提案するのは、単なるプリンターの販売ではなく、製造現場の課題に対する「最適なプロセスの提供」です。FFF、DLP、SLSという3つの異なる特性を理解し、それらを一つのプラットフォームで使いこなすこと。これこそが、AM活用を次のステージへと引き上げる最短ルートとなります。