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材料コラム

Raise3DにおけるPET CFソリューション|高速造形と高強度を両立する産業グレードの活用術

3Dプリント材料の進化により、金属代替や治具製作の現場で「カーボンファイバー混材料」の活用が一般化しています。その中でも、吸湿性が低く寸法安定性に優れたPET CF(ポリエチレンテレフタレート・カーボンファイバー)は、産業界の新たなスタンダードになりつつあります。

本記事では、Raise3DのエコシステムにおいてPET CFを最大限に活用するためのソリューションを解説します。

PET CFとは

PET CFとは、ペットボトルなどでおなじみのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂をベース素材とし、そこに微細な炭素繊維(カーボンファイバー)を配合した複合フィラメントです。PETが持つプリントのしやすさや寸法安定性に、炭素繊維の強靭さと剛性が加わることで、エンジニアリング用途に耐えうる優れたパフォーマンスを発揮します。

どのような物を造形するのに適しているのか

PET CFは高い引張強度や剛性、優れた耐熱性を持ちながらも、造形時の反りや収縮が非常に少ないという特性を持っています。そのため、以下のような業界やパーツの造形に最適です。

  • 自動車・航空宇宙業界: エンジンルーム周辺のブラケット、ダクト、内装のカスタムパーツなど、耐熱性と強度が求められる部品。

  • 製造現場の治具・取付具: 生産ラインで日常的に使用される検査用治具や、ロボットアームのエンドエフェクタ(先端ツール)。高い寸法精度が長期間維持されます。

  • ドローンやRCカーのシャーシ: 軽量でありながら高い剛性が求められるフレームやプロペラガード。

PA系(ナイロンカーボン)との比較:PET CFの2大メリット

1. 湿気に強く、管理が楽(低吸湿性)

PA-CF(ナイロンカーボン)は吸湿しやすく、管理が悪いと造形不良や強度低下を招きます。対してPET CFは圧倒的に湿気に強いのが特徴です。

  • 吸水率の差: PA6-CF(約2.3%〜)に対し、PET CFは0.05%〜0.5%と極少。

  • メリット: 日本の多湿な環境下でも安定して造形でき、防湿管理の負担を大幅に軽減できます。

2. 反りにくく、寸法が正確(高精度)

高強度フィラメント共通の悩みである「造形中の反り」において、PET CFは非常に優れた安定性を持ちます。

  • 特性: もともと収縮しにくいPET樹脂に炭素繊維を加えることで、カーボン系材料の中でもトップクラスの「寸法安定性」を実現。

  • メリット: PA-CFでは角が浮きやすい大型パーツや精密な部品でも、反りを抑えて正確に出力可能です。

Raise3Dが提供する「PET CF」のラインナップ

Raise3Dでは、ユーザーの生産計画や要求物性に合わせて最適化された2種類の純正PET CFを展開しています。

Hyper Speed PET CF

最大の魅力は、その名の通り圧倒的な「造形スピード」です。Raise3DのHyper FFF技術に最適化されており、最大300 mm/sという驚異的なスピードでプリントが可能です。通常、カーボン配合フィラメントは造形速度を落とす必要がありますが、この製品は強度と生産性を高い次元で両立させており、試作から量産までのリードタイムを大幅に短縮します。

※3Dプリンターがフィラメントを押し出しながらヘッドを動かせる最大の速度です。通常、炭素繊維を含むフィラメントは流動性の関係から綺麗にプリントするために速度を大きく落とす必要があります。

造形スピードにおいてはRaise3D Hyper Speed PET CFが他社の3〜6倍となるポテンシャルを有しています。

造形スピードの高さの秘訣はその熱せられたノズルから吐出する際の流動性であり、同社のIndustrial PET CFは流動性「Melt Flow Index (g/10 min)」が4.7g/10 minであるのに対しHyper Speed PET CFは31.0g/10 minと約7倍の流動性があります。

物性値においては他のフィラメントよりも僅かに低い数値でありましたが、それを上回る造形スピードからある程度の機能性を持ちつつ、且つ早く試作品を出力して形状確認を行いたい開発現場において、リードタイムとコストを大幅に削減するポイントとなります。

Hyper Speed PET CFの詳細ページはこちら

Industrial PET CF

バランスの取れた非常に高い機械的特性を持っています。特に引張強度が87 MPaと高く、アニール処理(熱処理)を施すことでHDT(荷重たわみ温度)が112 °Cに達するなど、優れた耐熱性を発揮します。持続的な負荷がかかる構造部品や、高温環境下で使用される検査用治具などに最適です。

複数メーカーとの比較結果は、Industrial PET CFが最も高い数値(87.0MPa)を記録しました。Industrial PET CFは持続的な引っ張り負荷がかかる部品に最適で、重量物を吊り下げるフックやクランプ、ワイヤーのテンショナー、負荷のかかるモーターマウントなどの造形において、最も高い信頼性を発揮します。

Industrial PET CFの詳細ページはこちら

産業用途でRaise3DのPET CFが選ばれる理由

単なる「強い材料」があるだけでは、産業現場の課題は解決しません。Raise3Dが選ばれる理由は、その強固な「エコシステム」にあります。

エコシステムの強み:ideaMakerによる最適化プロファイル

PET CFは造形設定がシビアな材料ですが、Raise3Dのスライサーソフト「ideaMaker」には、純正材料に最適化されたプロファイルがプリセットされています。温度、速度、冷却、リトラクションなどが検証済みであるため、導入初日から失敗のない高品質な造形が可能です。

物性の安定:アニール処理によるポテンシャルの解放

PET CFは、造形後にアニール処理(100℃で6時間推奨)を行うことで結晶化が促進されます。これにより、耐薬品性や耐熱性が向上し、産業グレードに相応しい長期的な寸法安定性と強靭さを手にすることができます。

OFPの柔軟性

自社材料だけでなく、世界最大の総合化学メーカーであるBASFの3Dプリンティング部門として発足したブランドForward AM社の「Forward AM Ultrafuse® PET CF15」などの認定材料も安心して使用できるオープンな体制を整えています。用途に合わせた柔軟な材料選定が、Raise3D一台で完結します。

PET CFフィラメントを扱う上での注意点

PET CFは非常に優秀な材料ですが、快適にプリントし高い品質を得るためにはいくつか注意する項目があります。

耐摩耗ノズルの使用

フィラメント内部に硬い炭素繊維(カーボンファイバー)が含まれているため、削る力が強く、標準的な真鍮ノズルを使用すると数時間でノズルの先端が削れて穴が広がり、使い物にならなくなってしまいます。
PET CFをプリントする際は、必ずハードスチールノズルやルビーノズルなどのメーカー毎に推奨の耐摩耗性に優れた専用ノズルを使用してください。

徹底した乾燥管理

PET樹脂は溶融時の粘り気が強いため、ノズルが移動する際に糸引きが発生しやすい性質を持っています。いくら吸湿性が低いとはいえノズル内で水分が蒸発すると糸引きや表面の荒れに直結します。プリント前にはフィラメント乾燥機を用いて70℃前後で8時間程度乾燥させることで、ベストなフィラメントコンディションとなり糸引きを大幅に抑えることができます。

消耗品ページ:PoluDryer

サポート材の除去と仕上げ

PET CFは層間密着力が非常に高く、剛性も強いため、本体とサポート材がガッチリと結合してしまい、剥がすのに苦労することがあります。

無理に外そうとするとケガの危険性や本体を破損してしまう恐れがあるため、サポートを外す際にはペンチやニッパーなどの工具を使用して除去するのが望ましいです。
糸引きのバリ取りには彫刻刀がおすすめです。

またスライサーソフトで「モデルとサポートの隙間」を少し広めに設定するか、サポートの表面層の設定を細かくチューニングするのもポイントです。

あわせて読みたい: Ultrafuse® PET CF15の造形事例と詳細レポートはこちら

まとめ:生産性を最大化する材料選定

産業用3Dプリントにおいて真に重要なのは、単なるカタログスペックの数値だけではありません。「造形時間の短縮(生産性)」と、誰がプリントしても同じ結果が得られる「品質の再現性」のバランスです。

Raise3DのPET CFソリューションは、これらを高い次元で両立し、あなたの現場のDXを加速させます。

比較検討中の方へ

他社製品を含めた市場全体のPET CFスペック比較データや、より詳細な選び方のポイントについては、[弊社コーポレートサイトの比較記事]をご参照ください。

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